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ソリッドに、ただソリッドに

1990年生まれ。社会の関心事をソリッドに切っていきます

エクス・マキナは知的好奇心をくすぐる良作(『her/世界でひとつの彼女』と『2001年宇宙の旅』を見事に昇華)

2015年にイギリスとアメリカで公開された映画『エクス・マキナ

制作費15億円。ハリウッド映画としては低予算ながらも第88回アカデミー賞視覚効果賞を受賞して話題の作品となっている。

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日本では2016年6月からミニシアターを中心に公開が始まったので早速鑑賞してきた。なお、以下の感想・解説については多少のあらすじも記載しているが、鑑賞の前に読んでも差し支えない内容なので鑑賞前のかたにも安心して読んでいただきたい。

 

初体験の相手は人工知能

www.newsweekjapan.jp

上記の記事は最近話題になった記事だが、『エクス・マキナ』からも同じような未来が想像できる。主人公の青年がロボットを相手にチューリングテストのように会話を重ねてロボットを評価していく。しかし、ロボットに対して次第に恋心が芽生えていくことになる。

 

her/世界でひとつの彼女』では人間が試される

ここで1つ別の映画を紹介する。2014年に日本でも公開されたスパイク・ジョーンズ監督の『her/世界でひとつの彼女』をご覧になっただろうか?

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この映画は離婚した男性がOS(オペレーティングシステム)との会話をおこない、次第に恋に落ちていく話である。OSの声はスカーレット・ヨハンソンの甘くハスキーな声であるため、見ている側も彼女に引き寄せられていく。

なによりOSは自分の思い通りにならない人間とは違う。どのように振る舞うと相手が心地よくなるかを数々のデータから導き出し、そのとおりの言葉を投げかけてくれる。人間なんかよりもよっぽど一緒にいたいと感じさせてくれる存在が本作品のOSである。

このストーリーは淡く赤みがかった独特な色調で、中盤までは甘い恋愛を楽しませてくれるのだが、終盤では話が変わってくる。恋人のOSは実は自分だけでなく、数万人と同じような会話をしていることを何気なく教えてくれる。そして、男は嫉妬により絶望の境地に立たされる。

人口知能が人間に近づくか?という話ではなく人間の心が人工知能に試される。なんとも言えない絶望を感じさせるのがこの映画のみどころである。

 

2001年宇宙の旅』では人工知能が暴走

ここで2つ目の映画の紹介する。もはや説明する必要もないくらいの名作『2001年宇宙の旅』。SF作家アーサー・C・クラークと名監督スタンリー・キューブリックの共同制作の脚本は人類の進化について哲学的な命題を問いかける。また、1960年代に作られたとは思えないような映像美も見ものである。

この映画で宇宙船の全管理をおこなっているのが『HAL9000』である

https://i.ytimg.com/vi/Be8Gbqdox68/maxresdefault.jpg

彼は宇宙船内の人を殺そうとする。人間のために作られた人工知能が意思を持って、人類を越えようとする瞬間は映画史の中でもとてつもないインパクトとして印象に残る。

 

そして、エクス・マキナでは

恋心を芽生えた主人公は、人工知能を持つ彼女に恋をする。

彼女に恋をした彼は、閉じ込められている彼女を救い出そうとするが待っているのは…恐ろしい結末である。

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この映画を観た感想は、『her/世界でひとつの彼女』と『2001年宇宙の旅』をうまく昇華させた作品だと感じた。人工知能に対して人間はどう接するべきかを問いかけるような知的好奇心をくすぐる良作に仕上がっている。

 

紹介した2つの過去作品とあわせてぜひ鑑賞していただきたい。